13.多重債務整理事件、自己破産事件

 多重債務者とは、サラ金、クレジット会社、銀行その他の金融機関、貸金業者などから次々と借金を重ねて返済できなくなったり、複数のクレジットカードやクレジットの利用が嵩み、返済能力を超え、借金が雪ダルマ式に増えて返済できなくなっているような債務者のことをいいます。
 そして、これらの多重債務者は、債務の返済ができないので、債権者からの取立が厳しく行われるようになり、債権者が自宅や職場などに、借金の催促に来たり、更に他のカードを作って借金を重ねてしまい、社会生活に支障を来しているケースもあります。  このような多重債務者の債務整理事件は、法律事務に属し、弁護士の専権業務でありますので、弁護士でないものが報酬を得る目的で多重債務者の債務整理事件を行うことは法律で禁止されています(弁護士法72条)。
 多重債務者が弁護士に債務整理事件を依頼して、弁護士が受任して介入した場合には、債権者に対して、介入通知をします。この介入通知がなされると、貸金業者は、債務者本人に直接取立行為を行うことが禁止されます貸金業法21条1項金融監督庁の「事務ガイドライン」3―2―2(3)A)。これに違反した貸金業者は、刑事罰や行政処分の対象とされることもあります。

 次に、受任した弁護士は、貸金業者に対し、債務者との過去の取引経過を開示するよう請求します。貸金業者は、法律によって取引経過を記載した帳簿の作成・保存を義務付けられており(貸金業法19条)、これを受けて、金融監督庁のガイドライン3―2―3(1)は、債務者等から帳簿の記載事項のうち、弁済にかかる債務の内容について開示を求められたときに協力すべきことを規定しています。ほとんどの貸金業者は、利息制限法に違反し、過分な利息を請求しているケースが多いので、利息制限法に引き直すと、実際の借入金額は、請求額よりも少なくなります。この場合、残金を短期の分割払いで返済可能な場合もありますので、過去の取引経過の開示を受けたうえ、利息制限法に則って債務の金額を計算する必要があります。ただ、貸金業者によっては途中からの取引経過しか開示しないケースもありますので、およそ何時ごろから取引を開始したか、過去に弁済したときの領収証や振込票などの資料が残っていないか、債務者の側で確認することも重要であります。

 

 債権者との債務弁済に関する和解交渉については、総債務を概算し、債務者の弁済原資(月々の返済額)を各債権者の債権額で按分して弁済条件を提示して行います。一般に、すべての債務を2〜3年で支払うことができるようであれば、任意整理をすることが可能です。
 債務者の弁済原資は、債務者の生活状況を踏まえたうえ、弁護士費用その他の経費を差し引いて計算します。債務者が、通常の社会生活を営むことを目的として債務整理を行いますので、生活費は収入から除外して弁済原資を計算します。
 債権者との和解は、弁護士が示談書を作成して任意に行うのが原則でありますが、一部の債権者から給料差押えなどの強制執行がなされているような場合には、強制執行を停止するために、特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律に基づく調停手続に則って債務整理をする場合もあります。この場合は、全債権者を相手方として調停の申立てる必要はなく、一部の債権者だけを相手方とすることもできます。
 債務者に収入が少ないなど、債務を支払うことが不可能な場合には、裁判所に自己破産の申請を行い、免責の手続をとる必要があります。
 自己破産の申請は、債権の金額、内容や、債務者の財産関係などを調査したうえ、裁判所に破産宣告の申立てをして行います。債務者の財産が少なく、管財人選任手続や配当手続などの費用に充てる財産がない場合には、裁判所は「破産宣告」(債務者を破産者とする旨宣言すること。)を行い、同時に「破産廃止」が決定されます(いわゆる「同時廃止」と呼ばれ、破産宣告後の管財人選任手続や配当手続などの手続が行われないまま、破産手続が終了する制度)。この場合、裁判所に予納金と郵便切手を収める必要がありますが、東京地方裁判所の場合、予納金が2万円、郵便切手代が4,000円となっております。  なお、東京地方裁判所(本庁)では、弁護士が代理人となって申立てる個人の自己破産事件について、破産申立時に弁護士が単独で裁判官と即時面接することができる運用がなされています(原則として不動産を所有していないことが必要です)。
 債務者に財産がある場合には、破産管財人を選任して破産手続を行うことになりますが、この場合裁判所に収める予納金は、負債総額が5,000万円未満の自然人の場合で50万円必要となり、負債が大きくなるにしたがって予納金の額も増大していきます。

 

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