14.競売事件

1.競売とは、一般には、売主が多数の者に買受けの申出を行わせ、最高価格の申出をした者に売るという売買方法です。法令上の制度としては、民事執行法上、不動産や船舶の売却方法としての強制競売、担保権の実行としての競売、民法・商法等の規定による換価のための競売があります。不動産の強制競売をする場合には、執行力のある債務名義(判決正本、公正証書など)を有する債権者が、対象不動産を特定して、執行裁判所に対して強制競売の申立てを行います。

2.
執行裁判所が競売開始を決定し(民事執行法45条1項)、これが債務者に送達されると差押えの効力が生じ(民執46条1項)、差押登記がなされます(民執48条1項)。その後、執行裁判所は売却条件を明らかにするため、執行官に対して差押不動産の形状、占有関係その他の現況についての現況調査を命じて(民執57条1項)、現況調査報告書を提出させます。また、執行裁判所は不動産の評価を命じるために評価人を選任して(民執58条1項)、評価書を提出させます。その後、執行裁判所は、評価人の評価に基づいて最低売却価格を決めます(民執60条1項)。また、執行裁判所は、現況調査と評価の結果を踏まえて、物件明細書も作成します。裁判所に備え置かれた物件明細書を閲覧することにより、一般市民は、不動産の状況や権利関係を客観的に把握した上で、競売手続に参加することが可能となります(民執62条)。

3.
売却の方法としては、入札、競り売り、特別売却などがあります(民執64条)。一般的な入札方法は期間入札で、裁判所の指定する入札期間内に、最低売却価格の2割相当額を納付した保証金の証明書とともに買受の希望額を記入した入札書を裁判所に提出ないしは郵送して行います。入札または競り売りの方法により売却を実施しても適法な買受申出がなかったときは特別売却を実施することがあります。入札等があった場合、執行裁判所は、売却決定期日において、最高買受申出人に対する売却の許否を審査し、売却の許可を言い渡すこととなります(民執69条ないし71条)。

4.
売却許可決定が確定したときには、買受人は、執行裁判所が定める期限までに残りの代金を執行裁判所に納付します(民執78条1項)。これが納付できない場合には、売却許可決定はその効力を失い、買受人は提供した保証の返還を請求することができなくなります(民執80条1項)ので、注意して下さい。なお、民事執行法の改正により、競売物件についても公庫や銀行ローンも利用できるようになりましたので、今後はローンを利用しての競売物件の取得も可能となりました。買受人は残代金を納付したときに不動産の所有権を取得します(民執79条)。代金を納付した買受人から申出があれば、執行裁判所は債務者または事件記録上差押えの効力発生前から権限により占有している者でないと認められる不動産の占有者に対し、不動産を買受人に引渡すべき旨を命じることができます(民執83条1項)が、これは代金納付をした日から6ヶ月以内に行わなければなりません(同2項)。買受人が納付した売却代金は、配当を受けるべき債権者に配当されます(民執84条1項)。

5.
さらに、平成8年の民事執行法改正により、不動産競売の開始決定がされる前に、債務者または担保権の目的である不動産の所有者もしくは占有者が不動産の価格を著しく減少する行為またはそのおそれがある行為(価格減少行為等)をする場合において、特に必要があるときは、執行裁判所は当該不動産について担保権を実行しようとする者の申立てにより、担保を立てさせまたは立てさせないで、その行為をする者に対し、その不動産についての民事執行の売却の手続において買受人が代金を納付するまでの間、価格減少行為等を禁止しまたは一定の行為を命じることができるようになりました(民執187条の2、1項)。これによって、暴力団等による不当な執行妨害を排除できることが可能となっています。

6.
競売手続の途中において、債務者が当該不動産を第三者に任意売却するなどして、債権者と債務者が和解することもあります。その場合には、抵当権等の担保物件で把握している価値を前提に、債権者が債務者より最低競売価格の一定額を増加した金額に競売費用などを上乗せした金額を債権の弁済として受領して、競売手続を取下げることが行われます。債務者としても、競売手続で低額に売却されるよりは、任意売却で売った方が高いので債務の減少に役立ちますし、任意売却であれば自己の引越費用等を捻出することもできる場合があります。もっとも、右取下は、遅くとも開札期日の前日までに行わなければならず、開札期日以後は買受人の同意が必要となってくるので、注意して下さい。

 

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