2 .ゴルフ場及びゴルフ会員権、レジャー会員権をめぐる事件

1.会員制のゴルフ場やレジャー施設にはじまる会員制事業は、会員に対して多額の預託金や入会金を支払わせるものがあります。これに対して、ゴルフ場やレジャー施設が提供するサービスの契約に関する規制がないことや、契約の内容が不明確であることもあって(予約の取り方や会員数の増大の問題、未開設の遅延責任問題など)、トラブルになることが多いと言えます。そのため、これを防止する観点から、平成5年5月19日、事業者に対する情報開示を中心とする「ゴルフ場等にかかる会員契約の適正化に関する法律」が施行されました。

2.
この法律では、会員制事業者または会員契約代行者が、会員契約にかかる施設が開設された後でなければ、当該施設にかかる会員契約の締結をしてはならないと規定されています(第4条本文)。但し、当該施設が開設されないこととなった場合において会員制事業者が会員に対して行うべき拠出金の返還についてその額の2分の1以上の額に相当する額の金銭の会員に対する支払を担保する契約(保証委託契約)を締結した後に、その旨を主務大臣に届け出れば、当該保証委託契約にかかる会員契約の締結ができます(第4条但書)。また、会員制事業者または会員契約代行者が、会員契約の締結にあたって顧客に対して、会員契約の内容及びその履行に関する事項についての会員契約の概要や会員制事業者の業務及び財産の状況に関する事項に関する書面を交付しなければならないとして、契約内容を明確化するよう定めています(第5条1項)。これによって、例えば、当該施設の完成時期、募集会員数等、会員制事業者が債務不履行を行ったことについての主張がしやすくなりました。さらに、会員制事業者または会員契約代行者は、会員契約に関する事項について広告をするときは、指定役務の内容、指定役務にかかる施設の概要、会員の数についての計画その他の通商産業省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、または実際のものよりも著しく優良であり、もしくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならないこと(第6条)や、会員契約の締結または更新についての勧誘をするに際し、会員契約に関する事項であって、顧客の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、故意に事実を告げず、または不実のことを告げる行為をしてはならないこと(第7条1項)も規定され、顧客の保護が図られています。

3.
会員制ゴルフクラブの主なものとしては、社団法人制、株主会員制、預託金会員制などがあります。会員は、それぞれ、社団法人制では社員、株主会員制では株主、預託会員制ではゴルフ場経営会社に対する預託金の返還請求と施設利用権を有する債権者という法的立場を有することとなります。そして、多くのゴルフクラブにおいては、会員の権利や義務について定款や会則等があり、会員総会への出席議決権、施設利用権、会費の支払義務等が規定されております。また、レジャー会員権も右に準じて、共有会員制と預託会員制のものがあります。

4.
現在、ゴルフクラブをめぐって多く紛争となっている事案は、理事会による預託金据置期間延長決議が有効か否かという問題です。例えば、預託会員制のゴルフクラブにおいては、ゴルフコース建設のための必要資金に預託金が充てられますが、会員とゴルフ場事業者との間の契約により一定期間経過後、右事業者は会員が退会するときに預託金を返還しなければなりません。ところが、近年ゴルフ場の経営も順調ではないため、会則を根拠に、預託金返還の据置期間をゴルフクラブの理事会決議で一方的に延長しているのが実際のところです。

5.
この問題は、前記のゴルフクラブの各法的性質によって説明の方法が異なりますが、前記の預託会員制のゴルフクラブにおいては、クラブは任意団体に過ぎず、クラブ入会は、主催者と個々の会員との間のサービス供給契約に過ぎませんので、理事会による据置期間の延長決議は、預託金の返還請求権という契約における会員の最も基本的な権利に関するものですから、これに対する重大な変更は理事会の決議によっては為し得ず、個々の会員の承諾が必要である(すなわち、契約においては一方当事者の意思だけで契約内容を変更することはできない)というのが一般的な理解であり、これを支持する裁判例も出ています(最高裁昭和61年9月11日判決)。

6.
右裁判でも主張されましたが、ゴルフ場によっては、「天災、地変、その他不可抗力の事態が発生した場合は、理事会の決議により据置期間を延長することができる。」旨規定されているところもあり、いわゆるバブル経済崩壊が右「その他不可抗力の事態」にあたるかどうかが争われた事例もありますが、現在の多くの裁判例では、バブル経済の崩壊はこれに当たらず、据置期間の一方的な延長は許されないということとなっております。

 

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