4.営業秘密、不正競争防止法に関する事件

1.企業にとって、営業秘密を守ることは、その存続を決定づけるほどに重要です。しかし、営業秘密といものを企業内部に当てはめた場合、どこまでが営業秘密に属し、どこからがそうでないのかの要件が多くの場合厳密ではありません。そのため、実際上、社員に対して、会社の営業秘密を守らせるような管理監督方法を取ることも困難です。したがって、企業としては、どのような事項が会社にとって重要な営業秘密にあたり、具体的にどのような資料ないし情報を営業秘密とするかについて検討しなければなりません。このために参考となるのは、不正競争防止法第2条4項です。ここには、「この法律において営業秘密とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう」とされていますので、自己の会社において右に当てはまるもの(例えば、得意先・顧客名簿や商品の設計図書、卸売価格表など)を具体的に抽出することが必要です。

2.
そのうえで、営業秘密を守るためには、まず、当該営業秘密が容易に漏れないための方法を採用することが考えられます。例えば、営業秘密を知りうる者を企業経営上必要最小限度の人員に限ったり、営業秘密に関する資料の持ち出しやコピーを管理し、営業秘密にアクセスする場合には申請や許可、パスワード等を必要とするなどの措置も考えられます。また、会社として、営業秘密を知る者(社員や役員、取引先等)との間で契約を締結して、秘密保持義務を課すことも有効な対策と言えます。これにより、営業秘密を知る相手方に対して守秘義務の遵守を請求したり、それに違反した場合には債務不履行に基づく損害賠償請求を請求したりすることができます。また、右契約当事者以外の第三者が営業秘密を漏らした場合には、民法の不法行為責任(第709条)を追及することも可能です。さらに、企業秘密としての媒体情報(紙面、フロッピーディスク等)を窃取、詐欺、恐喝、横領等の方法で侵害した場合には別途刑法が適用されるほか、当該社員等の地位によっては背任罪に該当する場合もあります。

3.
不正競争防止法では、営業秘密として認められる権利を侵害することを不正競争の概念として定義し(第2条1項4号ないし9号)、これに対する差止請求権(第3条1項)を認めています。 また、不正競争防止法では、他人の商品等表示として需要者の間に広く認識されているものと同一ないしは類似の商品等の表示をしようしたりして他人の商品や営業と混同を生じさせる行為(第2条1項1号)、自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一ないしは類似のものを使用したりする行為(第2条1項2号)、競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知しまたは流布する行為(第2条1項13号)なども不正競争の概念として定義し、これに対する差止請求権(第3条1項)を認めています。さらに、侵害の行為を組成した物(侵害の行為により生じた物も含む)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止または予防に必要な行為の請求権(第3条2項)、損害賠償(第4条)も認められるとともに、不正競争を行って他人の営業上の信用を害した者に対しては、信用回復の措置(第7条)も請求することが可能です。 また、特許権や商標権、著作権等を侵害する物品を外国から輸入しようとすることは関税定率法第21条1項5号によって禁止されていることからも、権利の保護が図られています。

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