5.貸金業法、出資法に関する事件

 私人間の金銭の貸借については、民法のほか、利息制限法、出資法(出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律)、貸金業法(貸金業の規制等に関する法律)などの法律による規制がなされています。
1. 利息制限法によって、利息は、元本が10万円未満の場合年20%、元本が10万円以上100万円未満の場合年18%、元本が100万円以上の場合年15%に制限され、超過利息は原則として無効とされております(利息制限法1条)。判例上、超過利息の支払については、超過分が元本に充当され、元本充当により債務が存在しないこと知らずに支払った場合には、不当利得となり、返還の請求ができます(最判昭和39.11.18、民集18―9―1868、最判昭和43.11.13、民集22―12―2526)。
 なお、利息という名目でなくても、債権者が受ける元本以外の金銭については、例えば礼金、割引金、手数料、調査料等の名目であっても、契約締結及び弁済費用を除き、すべて利息とみなされます(利息制限法3条)。

2. これに対し、貸金業法、貸金業を登録制とし(貸金業法3条以下)、貸金業者に対し、一方で、貸付条件の明示、契約書面・受取り証書の交付や帳簿備付を義務づけたり、過剰貸付や誇大広告、違法取立行為等を禁止していますが(貸金業法13条以下)、他方、貸金業法43条で、債務者が、貸金業者(この場合は貸金業法で登録をしている貸金業者に限ります)との金銭消費貸借に基づき任意に利息を支払った場合に、本来利息制限法に違反して無効なはずの利息制限超過部分について、例外的に有効な利息の弁済とみなす旨規定しています。
 したがって、この貸金業法43条の規定によれば、利息制限法に規定された制限利息を超える利息を任意に支払った場合、支払は例外的に有効とされます。
 それでは、任意に弁済した場合には、利息の支払はすべて有効となってしまうかといえば、否であります。
 有効な利息の弁済とみなされるためには、債務者が超過額を利息・損害金と指定して任意に支払ったこと、貸金業法17条の法定の契約書面を交付していること、貸金業法18条の法定の受取り証書を交付していることなどの条件が必要であって、これらの要件の主張・立証責任は貸金業者側が負担するものとされており、実際のケースでは、このような主張・立証ができない場合がほとんどであります。
 したがって、通常のケースでは、利息制限法に違反した超過部分の支払は、原則通り利息の支払としては無効であって、元金に充当されることになります。
 また、万一、上記要件が満たされたとしても、出資法に違反している場合は、刑事罰の対象になり、公序良俗違反として有効な利息の弁済とはみなされないと解されております(民法90条)。

3.
出資法は、年109.5%(1日当たり0.3%)を超える高金利(遅延損害金を含む)の契約をし、又はこれを受領したときは、何人も3年以下の懲役ならびに300万円以下の罰金に処せられると規定しています。貸金業者(この場合は貸金業法で登録していない貸金業者も含まれます)については、年29.2%(1日当たり0.08%、平成12年6月1日以降の上限金利。以前の上限金利は年40.004%、1日当たり0.1096%でありました)が上限金利とされ、これを超える金利の契約をし、又はこれを受領したときに、刑事罰(3年以下の懲役ならびに300万円以下の罰金)の対象としています。したがって、この29.2%以下の金利については、利息制限法には違反しているが刑罰の対象とされていないということで、いわゆるグレーゾーンと呼ばれております。しかし、上記の通り貸金業法43条の要件(任意の支払)が認められない以上は、超過利息の支払は無効であると解されますので、上記判例のとおり、超過利息は元本に充当され、元本完済後は不当利得として返還の請求ができます。
 したがって、金銭の貸借において、利息制限法の制限利率を超える超過利息の支払は、貸金業者であるか否かにかかわらず、無効であるのが原則でありますが、貸金業法の登録をしている貸金業者については、貸金業法43条によって、例外的に有効となる場合があり、また、刑事罰については、貸金業法の登録をしているか否かにかかわらず、年29.2%を超える高金利での貸付けをした貸金業者は刑事罰に処せられ、貸金を業としていない者が貸付ける場合には、年109.5%を超える貸付けをした場合に刑事罰に処せられることになります。

4. なお、弁護士が債務整理事件の依頼を受任した場合には、貸金業者に対して、介入通知をします。この介入通知がなされると、貸金業者は、債務者本人に直接取立行為を行うことが禁止されます(貸金業法21条1項金融監督庁の「事務ガイドライン」3―2―2(3)A)。また、受任弁護士は、貸金業者に対して、過去の取引経過を請求することができます(貸金業法19条金融監督庁の「事務ガイドライン」3―2―3(1))そして、受任弁護士は、貸金業者から開示された取引経過に基づいて、上記利息制限法に引き直して計算したうえ、債権残額を確定し、債権者と和解交渉をします。

 

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