6.建設業法、工事請負契約、下請法に関する事件

1.工事請負契約をめぐる紛争は多く、裁判に発展する場合も少なくありません。これは、建築請負業者の多数が個人に準じた小規模会社であることや、業界内部の慣行として契約書等の書面作成を厳格に行わず、多くは注文書(発注書)や注文請書等によって契約成立としていること、場合によっては口頭契約のみで業務を遂行していること等が主な原因として挙げられます。また、建築請負代金が種々の事情から当初の見積額を超えて発生する場合があることや、追加工事に関して発注者の明確な意思表示があったか否か、完成した工事に関して瑕疵が存在するか等の問題もあって、注文者と請負業者との間でトラブルになる事例も多いと言えます。

2.
したがって、工事請負契約を締結するにあたっては、まず、書面による見積りを出し、双方当事者が交渉したうえで、工事請負契約書を作成することが必要です。右契約は注文者と元請業者との間でなされることはもちろんのこと、元請業者と下請業者間でも、基本的な工事請負契約を締結して業務を遂行すべきですし、少なくとも注文書や注文請書の交付はしっかりと行わなければなりません。

3.
 建設業においては、建設業を営む者の資質向上や建設工事の請負契約の適正化等を図ることによって建設工事の適正な施工を確保することを目的とする建設業法がありますので、これを遵守しなければなりません。これには、建設工事の請負契約の当事者が工事請負契約を締結しなければならないこと(第19条)、不当に低い請負代金の禁止(第19条の3・・通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約締結の禁止)、一括下請負の禁止(第22条)、下請代金の支払いに関する規定(第24条の3・・元請負人が請負代金の出来高部分に対する支払または工事完成後における支払を受けたときは、当該支払の対象となった建設工事を施工した下請負人に対して、右出来高部分に相応する下請代金を当該支払いを受けた日から1ヶ月以内で、かつ、できる限り短い期間内に支払わなければならないこと)、主任技術者及び監理技術者の職務等の規定(第26条)、建設大臣または都道府県知事が、特定建設業者の下請負人が賃金不払をした場合に、右特定建設業者に対して賃金相当額の立替払その他の適切な措置を講ずることを勧告することができる規定(第41条2項)等が規定されています。 これらを遵守することにより、下請業者が守られ、適正な建設工事請負が確保されるとともに、架空工事等の不公正な工事契約の締結が予防されることにもなります。

4.
 なお、建設業以外の製造、修理の下請契約については、下請代金の支払遅延等を防止するために規定された下請代金支払遅延等防止法があります。同法では、資本金3億円を超える事業者が3億円以下の事業者に、1000万円を超え3億円以下の事業者が1000万円以下の事業者に、それぞれ物品の製造または修理を委託する場合には親事業者(発注者)に優越的地位が認められるとして、これを規制対象とする旨を明確にしています(第2条)(社団法人商事法務研究会「下請法マニュアル<改訂第3版>4頁」)。また、親事業者は、下請代金の支払期日を下請事業者の給付を受領した日から起算して60日の期間内に定められなければならないこと(第2条の2)、親事業者が、下請事業者の帰責事由なく下請事業者の給付の受領を拒んだり、下請代金をその支払期日の経過後支払わないこと、下請事業者の帰責事由なく下請代金を減額することなど(第4条)の行為を禁止しています。

 

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