6.株主総会決議無効確認、取消請求事件

1.株主総会は、商法に規定された手続に則って行われなければなりません。すなわち、招集権者である取締役会は株主総会の開催日時や場所、議題を決定したうえで(商231条)、代表取締役が株主総会の2週間前までに株主に右招集通知を発送しなければなりません(商232条)。株主総会当日には、1株1議決権の原則のもと(商241条1項)、適正にこれを行使し(239条の2、1項前段、239条2項)、議案の内容により要求されているところの決議方法(普通決議、特別決議、特殊決議)による決議を得なければなりません。決議内容も適法なものでなくてはならず、法令や定款に違反してはならないことは当然です。

2.
以上のような手続を経て成立した決議は有効となりますが、右に述べた決議内容や決議に至るまでの手続において、何らかの瑕疵が存在する場合もあります。また、実際には何らの株主総会が行われていないのに、あたかもこれが行われたかのような外形のみ作出される場合もあります。この場合、多数の取引関係者を有する株式会社における重要な機関である株主総会の決議の瑕疵を放置しておいたのでは、取引関係者に不測の損害を与えることは明らかです。そのため、商法は、この瑕疵が重大であるか否か、実際に株主総会決議が行われたか否かによって、この瑕疵を治癒する手続を定めています。

3.
商法第252条では、株主総会の決議不存在及び決議無効確認の訴えが規定されています。これは、総会決議の内容が法令に違反するときは、その決議は当然に無効であって、誰でもいつでも無効確認を請求できることについて定めたものです。無効事由としては、総会決議の内容が法令に違反することですから、判例上、株主有限責任(商第200条1項)に違反する決議や株主平等原則に違反する決議、違法な計算書類を承認する決議、商法第290条1項に違反する利益配当決議等があります。その場合には、株主等は原告として、会社を被告に、株主総会決議無効確認請求を訴訟提起することになります。


4.
商法第247条1項1ないし3号では、総会招集の手続または決議の方法が法令もしくは定款に違反しまたは著しく不公平なときや決議の内容が定款に違反するとき、決議について特別利害関係を有する株主が議決権を行使したことによって著しく不当な決議がなされたときには、株主、取締役らは訴えにより総会決議の取消を請求することができることが定められております。そして、この訴えを起こすことのできる出訴期間は、決議の日から3ヶ月以内に提起しなければならないとされています(商法248条)。これは、法的安定性を図る必要があることから、取消事由及び時期の制限を行ったものです。総会招集の手続が法令・定款に違反する場合としてよくあるのは、取締役会の決議を得ずに代表取締役が株主総会を招集した場合、一部の株主に対する招集通知を欠いた場合、会議の目的事項や議案の要領の記載を欠いたりその記載が不備である場合、招集通知の期間が2週間に満たなかった場合等です。また、総会決議の方法が法令や定款に違反する場合としては、株主またはその代理人でない者が決議に参加した場合、定時総会の会日の1週間前から計算書類及び監査報告書を公示しなかった場合、取締役の説明義務違反がある場合などと言われています。


.もっとも、右訴訟が提起された場合でも、訴えの利益がない場合には請求は認められませんし、招集手続や決議方法が法令や定款に違反するときでも、その違反する事実が重大ではなく、かつ、決議に影響を及ぼさないときには裁判所が裁量棄却することができるとされています(商第251条)。このように商法では、株主総会の瑕疵については、不存在・無効の確認と取消という2種類の手続を置いて、株主の権利保護を図っているのです。
 
 

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