7.議事録、計算書類、商業帳簿閲覧請求事件

1.株主が株主総会において、各種の監督是正権を適確に行使する前提として、会社の情況特に財産情況について正確な情報が与えられていることが必要不可欠です。そのため、商法第263条2項、3項,244条4項では、株主は、定款を会社の本店又は支店で、株主名簿や株主総会の議事録等を会社の本店で、営業時間内はいつでも閲覧謄写できます。ただし,定款の謄写については,会社が定めた費用を支払う必要があります(商法263条2項ただし書)。また、商法260条の4,6項によれば、株主は,その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、取締役会の議事録の閲覧謄写ができます。これらの閲覧謄写権は会社の債権者にもあります。そして、商法第282条2項では、株主及び会社債権者は、計算書類、その付属明細書、監査役及び会計監査人の監査報告書を会社の本店で営業時間内はいつでも閲覧し、費用を支払って謄写できる旨規定しています。平成11年の商法改正により、これらの権利は、親会社の株主が子会社の前記書類を閲覧謄写する場合にも認められています(商法263条7項)。また、計算書類及びその付属明細書だけではその記載の正確性を知ることができませんので、商法第293条の6、1項では、総株主の議決権の100分の3にあたる株式を有する株主(少数株主)は、会社の帳簿または資料の閲覧または謄写を請求することができるとも規定されています。

2.なお、閲覧謄写の対象物は、それぞれの事案によって異なりますが、商法293条の6の少数株主の会計帳簿等閲覧権による閲覧謄写の対象となる会計帳簿の例としては、貸借対照表、損益計算書、営業報告書、利益金処分計算書又は損失金処理計算書、附属明細書、決算書、総勘定元帳、財産目録、経理元帳、有価証券台帳、貸付金元帳、借入金元帳、売上元帳、月次試算表、当座預金元帳、手形元帳、工事代金債務明細、確定申告書控、その他(日記帳、仕訳帳、領収書、契約関係帳票書類)等が考えられます。

3.しかし、右手続が不当な目的で濫用されてはいけませんので、会社は右請求が下記の一定の事由に該当すると認めるべき相当の理由がある場合には、閲覧謄写を拒絶できます(商第293条の7)。

@ 株主が株主の権利の確保もしくは行使に関し調査をなすためではないとき、
  または会社の業務の運営もしくは株主共同の利益を害するために請求をしてきたとき

  A 株主が会社と競業をなす者であるとき。会社と競業をなす者のためにその会社の株式を有する者であるとき
  B 株主が書類の閲覧もしくは謄写により知った事実を利益を得て他人に通報するために請求してきたとき等
  C 株主が不適当なる時期に閲覧謄写の請求をしてきたとき
このうち、Aの競業をなす者かどうかの判断では、定款で定められ登記された事業内容の比較、当該事業の形態と競業を行うことの難易、新会社設立の経緯や新会社の経営者等が旧会社または当該事業の関係業界において占めていた地位と実績、その資金力その他の事情等によって総合的に判断されているようです(東京地裁平成6・3・4判決)。 閲覧謄写請求は正式裁判でもできますが、急ぐ場合には仮処分手続によって行うこととなります。

4.また、親会社の株主であってその総株主の議決権の100分の3以上にあたる株式を有する者は、その権利行使に必要である場合に、裁判所の許可を得て、子会社の会計帳簿及び資料の閲覧謄写を請求できることとなっております(商293条の8)。

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