1.破産事件

 破産とは、ある者の財産状態が破綻して、その総財産をもって総債権者に対する債務を完済することができなくなった状態をいい、また、このような状態の場合に裁判所が債務者の総財産をもって総債権者に公平な満足を得させることを目的とする手続をいいます。
 破産法上の破産原因としては、法人自然人に共通した一般的破産原因として、支払不能(資力欠乏により弁済すべき債務全般を今後引き続いて弁済できない状態)があり、法人については、支払不能のほか、債務超過(債務の評価額が資産の評価額を上回る状態)が破産原因となります(破産法126条、127条)。
 破産の申立は、債権者、債務者ともに裁判所に申立てることができます(破産法132条)。裁判所は、破産原因等の破産開始の要件の有無を判断し、要件が具備している場合には、債務者を破産者とする旨宣言します(これを「破産宣告」と称します。破産法126条)。
 裁判所は、破産宣告と同時に、
@破産管財人を選任し、
A債権者が自己の債権を届け出る期間として債権者届け出期間を定め、
B届けられた債権の存否を調査する期日として債権調査期日を指定し、
C第一回の債権者集会の期日を指定します(これら@〜Cの処分を「同時処分」と称します。破産法142条)。
 破産管財人を選任するために、破産債務者は、裁判所に、予納金を収める必要があります。予納金は、負債総額が5,000万円未満の自然人の場合で50万円必要となり、負債が大きくなるにしたがって予納金の額も増大していきます(東京地方裁判所の場合。例えば、負債総額が5,000万円から1億円未満の場合80万円、1億円以上五億円未満の場合150万円で、更に負債総額が大きい場合は250万円以上で負債総額の金額に応じて増大します)。又、法人の場合は最低額が70万円(東京地裁で、負債総額5,000万円未満の場合)となっております(この場合も例えば、負債総額が5,000万円から1億円未満の場合100万円、1億円以上五億円未満の場合200万円で、更に負債総額が大きい場合は300万円以上で負債総額の金額に応じて増大します)。この予納金は、破産管財人の報酬その他の手続費用に支出されます。
 破産宣告によって、破産者は宣告前に有した財産の管理処分権を失います。破産者の財産は破産財団となり、以後は破産管財人が破産者に代わって一切の管理処分を行います。そして、債権者は、破産者に対して個別に権利行使することはできなくなり、配当の手続によって公平な弁済を受けることを強いられます(破産法7条、15条、16条、53条)。
 破産者は、破産管財人等に対して破産に関して必要事項の説明義務を負い、その他、居住制限、通信の秘密の制限、公私の資格の制限などの制約があります(破産法153条、147条、150条等)。
 以上は、破産財団が確保できる場合の手続でありますが、これに対し、裁判所が破産者の財産が極めて僅少で破産手続の費用を賄うに足りないと認めるときは、破産宣告と同時に破産廃止の決定(同時廃止の決定)がなされ、この場合破産宣告後の破産手続は行われません(破産法145条)。この場合でも、破産宣告が行われるので、公私の資格制限の効果は生じますが、破産者は破産財団についての管理処分権を回復します。
 破産宣告があっただけでは、破産者の債務は免責されませんが、破産者は、原則として、配当による破産終結決定の確定又は財団不足による破産廃止決定の確定まで(同時廃止の場合は確定後1ヶ月以内まで)に免責の申立をすることができます(破産法366条の2)。
 裁判所は、債権者に対する著しい背信行為などを規定した法定の免責不許可事由が存すると認めるときに限って、免責不許可の決定をすることができますが、免責不許可事由がある場合でも、情状、程度によっては免責許可をすることができます(破産法366条の9)。
 破産免責があると、破産者は、その破産手続による配当を除き、破産債権者に対する債務の全部についてその責任を免れます。但し、租税請求権、破産者が悪意をもって加えた不法行為に基づく損害賠償請求権、給料請求権、破産者が知って債権者名簿に記載しなかった請求権などは、非免責債権とされています(破産法366条の12)。
 破産者が受けている公私の資格・権利についての制限を消滅せしめ、その法的地位を一般的に回復せしめることを「復権」といいますが、免責決定が確定したときや破産宣告後詐欺破産罪について有罪の確定判決を受けることなく10年を経過したときは、当然に復権します(破産法366条の21)。また、法律上当然に復権しなくても、弁済その他の方法によって破産債権者に対する債務の全部について責任を免れたときは、裁判所への申立により復権の決定を受けることができます(破産法367条)。

 

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