2.民事再生法、会社更生法事件

1.平成12年4月1日より施行された民事再生法は、和議法や会社更生法の不備を是正したものとされ、債務者にとって利用しやすく、債権者にとっても公平かつ弁済の確保が図られやすい法律となっています。

2.
再生手続開始の申立てについては、主体が制限されていないため、株式会社以外の法人や事業者のみならず個人も再生手続を利用することができます。また、民事再生法21条では、「債務者に破産の原因たる事実の生ずるおそれのあるとき」や「債務者が事業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することができないとき」にも、申立てができるようにされたため、再建の手後れにならない段階での申立ても可能です。さらに、同38条1項では、再生債務者が、そのまま業務を遂行し、その財産を管理し処分する権限を有するとされていることから、現在の経営者らの能力をそのまま活用して再建を目指すことが可能となります。他方、再生債務者の財産の管理や処分が失当である場合やその他再生債務者の事業の再生のために特に必要があると認めるときは、裁判所は管理命令をすることができ、その場合には管財人や保全管理人による財産管理が行われることとなります。

3.
民事再生法において、再生債務者の再建を容易にするよう定められている制度は以下のとおりです。
  まず、再生計画による権利変更の対象を一般債権に限定して(同84条)、担保付の債権については別除権として扱うものの(同53条)、担保権の実行としての競売手続の中止命令(同31条)があるため、事業継続のために不可欠な財産を確保することができます。ただ、これだけでは担保権が残ることから、当該財産が再生債務者の事業の継続に欠くことのできないものであるときは、裁判所の許可により、当該財産の価額に相当する金銭を裁判所に納付して、当該財産に存するすべての担保権を消滅させることができるようにもなりました(同148条)。これは、バブル経済時において多額の借入等をして事業用不動産について担保権を設定したような場合、現在の時価を納付すれば担保権が消滅するので、早めにスポンサー企業等を見つけて右代金納付をすれば、再生債権者の再建に役立ちます。
  また、再生計画案の決議においては、原則として債権者集会の決議が必要ですが(同171条1項)、その可決要件は、議決権を行使することのできる再生債権者(議決権の額は債権調査によって確定した額です)で出席したものの過半数であって、議決権者の議決権の総額の2分の1の議決権を有する者の賛成です。 これに対して、会社整理では、裁判所が整理委員を選任して整理案を立てさせてその実行を命じうることとされていますが(商386条1項4号、391条、403条2項)、債権者に対する強制力がないことから、原則として整理計画にする全債権者もしくはそれに近い金額の債権者の同意がなければ整理は実行不能となるほかなく、この点が整理手続の弱点とされています。 さらに、会社更生手続では、関係人集会において更正計画案を可決するには、更生債権者の組においては議決権を行使することができる更生債権者の議決権の総額の3分の2以上に当る議決権を有する者の同意、更生担保権者の組においては更生担保権の期限の猶予の定をする計画案については議決権を行使することができる更生担保権者の議決権の総額の4分の3以上に当る議決権を有する者、更生担保権の減免その他期限の猶予以外の方法によりその権利に影響を及ぼす定をする計画案については議決権を行使することができる更生担保権者の議決権の総額の5分の4以上に当たる議決権を有する者、第191条に定める計画案(清算を内容とする計画案)については議決権を行使することができる更生担保権者の全員の同意、株主の組においては議決権を行使することができる株主の議決権の総数の過半数に当る議決権を有する者の同意を得なければならないとされています(会社更生法205条)。 いずれにせよ、民事再生法による処理は、機動的かつ再建のための工夫がなされているものと言えます。

4.
会社更正法は、手続の主体が株式会社に限定されている(1条)うえに、管財人が選任されて経営権や財産の管理処分権を行使するので(40条、53条)、現在の経営者は退陣することとなります。さらに、会社更生法では、担保権者や優先債権者、無担保の一般債権者、株主等の会社に対して権利行使可能な全て者の参加が可能ですから、前記の更正計画案の可決要件からも分かるとおり、手続全体が複雑であって、あまり機動的とは言えません。したがって、今後は、従前会社更生法が申立てられていたような案件も、民事再生法による申立てによる案件になる可能性が大きいと言えます。しかし、同時に、法人の役員等の責任の追及については、裁判所による損害賠償額の迅速な査定裁判など、会社更生法同様の規定(民事再生法144条)があることに注意すべきです。

 

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