3.通常清算事件、特別清算事件

1.会社は、解散をしても直ちに消滅せず、清算手続に入ります。すなわち、会社は従前、法人として多数の取引を行ってきたことから、右業務を終了するとともに、残存する債権を取立てたり、債務を弁済するほか、財産が残った場合にはこれを処理することが必要となります。このような手続を会社の清算と言いますが、この場合に行われる清算は、多数派株主の横暴を防ぎ会社債権者の利益を害しないため、法定の清算手続によって行われます。清算の種類には、解散の場合に通常行われる通常清算と、解散した会社につき清算に著しい支障を来たすべき事情があるかまたは債務超過の疑いがある場合に、会社の申立てにより、裁判所の命令によって開始される特別清算があります。

2.
まず、会社は、株主総会の特別決議(発行済株式総数の過半数にあたる株式を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上の多数決)によって、解散します(商404条)。会社が解散すると、取締役は清算人となり、その後の清算手続を進めます(商417条)。

3.
清算は、債権債務を処理した後で財産が残れば、これを金銭で株主に分配することを目的とします。そのため、選任された清算人は、解散及び清算人の届出を裁判所に行うとともに(商法418条)、会社の通常の業務は終了させ、売掛金等の債権を取り立て、各種の財産を換価し、債務の弁済を行います。清算人は、債権者に対して債権の申出を一定の期間内にするよう催告し(商法421条、422条)、その期間内は期限の到来した債権についても裁判所の許可を得た場合を除いて弁済を禁止します。期間経過後は全ての債務を弁済しなければなりません。

4.
債務を完済し、残余財産の分配が終わって清算が終了した場合には、決算報告書承認のための株主総会を招集します(商法427条)。ここで承認が得られれば、会社は消滅し、その旨の登記がなされ、重要書類を保存することとなります(商法429条)。

5.
これに対し、清算の過程で清算に著しい支障を来たすべき事情があるかまたは債務超過の疑いがある場合に、裁判所の命令により特別清算が開始されます(商法431条)。そのため、特別清算においては、破産法のうち多くの規定が準用されています。特別清算も清算の一種ですが、裁判所の監督が行われ(商法435条ないし437条)、清算人は破産管財人に類する職務を行うこととなります(商法434条)。債務の弁済についても、通常清算の場合と異なり、清算を円滑に終了させるためにも、清算人の作成した協定案を債権者集会が承認すれば、他の債権者も拘束して協定にしたがった弁済をすればよいこととなっています(商法450条)。しかし、上場会社などが債務超過に陥った子会社や関連会社を整理する場合には、企業信用保持のため、親会社の債権放棄や追加融資と貸付金の放棄、増減資などの方法により、当該会社の他の債務を完済後債務超過とならない状態にし、特別清算ではなく通常清算の方法による整理が多く行われます。

6.
特別清算が破産にかわる清算手続として申立てられることがありますが、これは、破産手続には一般的に時間と費用がかかること、破産手続が債務を完済できないときに開始されるのに対して特別清算は清算遂行に著しい支障をきたすべき事情があったり債務超過の疑いがあるときに開始されるという点で要件が緩和されていること、従前の取締役が清算人となることから債務者主導で清算手続を行うことが可能であることなどの、特別清算におけるメリットを重視して行われます。

 

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